相続税の申告をすると必ず税務調査が行われますか?
1 税務調査はすべての相続税申告に対して行われるものではない
結論から申し上げますと、相続税の申告をすると必ず税務調査が行われるわけではありません。
一般的には、税務調査が行われるのは、相続税の申告漏れや財産の隠ぺいがなされている可能性がある考えられる場合とされています。
相続税は、申告納税方式がとられているため、相続人等が自分自身で(または税理士に依頼して)、被相続人の相続財産等を調査、評価したうえで、相続税額を計算して申告します。
このとき、申告した相続財産に漏れがあったり、場合によっては意図的に財産を隠して相続税を免れるということもあり得ます。
税務署等は、提出された相続税申告書の内容を確認したうえで、申告漏れや隠ぺいの可能性があると判断した際、税務調査を行います。
税務調査においては、基本的には、聞き取り調査と、財産等の現物確認が行われます。
聞き取り調査では、被相続人の生前の収入や支出の状況、財産の管理状況、相続人や同居親族に対する資産の移動の有無等について質問されることが多いと考えられます。
現物の確認においては、主に金融資産に関する資料、不動産に関する資料、被相続人が経営者だった場合は株主名簿や元帳等が確認の対象となります。
2 税務調査が行われる可能性を下げるためには
税務調査をするかどうかについては、税務署等が判断しますので、税務調査が行われる可能性をゼロにすることは困難です。
もっとも、税務調査が行われる可能性を下げることはできます。
結論から申し上げますと、税務調査への対策として最も有効であると考えられることは、相続税申告に関する豊富な知識、経験、ノウハウを有している税理士に相続税申告を依頼することです。
相続税は、他の税分野にはない特色があるため、どの税理士でも確実な対応ができるというものではありません。
特に、相続財産の調査や、相続税申告特有の財産評価がしっかりできていないと、申告漏れや過少申告が疑われやすくなり、結果として税務調査が行われる可能性を高めてしまいます。
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